十段最底辺が騒音をまき散らしながら一人暮らしを頑張るブログ

          音ゲー好きの底辺歌い手見習い見習いが綴るブログ!本州とはつくづく縁がないけども現状に満足して生きていけるだけの生活を送れる程度の田舎民がお送りします。

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フランSS

スマホ用にw



広く暗い部屋の中、椅子に座る主が従者に問いかける。
光源は一切ないのだが、それでも彼女たちには十分見える暗さである。


「へぇ・・・で、大丈夫そうなの?」
久しぶりに見る従者に主が耳を傾ける。
声が若干はずんでいるのもそのせいだろう。


「おそらく大丈夫だと思います。面倒見はいい方ですし。」
相も変わらず従者はてきぱきと答える。


「まぁ咲夜が言うなら心配ないわね。・・・体験談かしら?」
含んだような言い回し。
彼女の性格が変わっていないことを、従者は懐かしく、そして退屈しないわ・・・と感じた。


「そうともいいますね。」


「ふふ・・・もう少し笑ったら?こういう時ぐらい。」
表情を変えない従者だが、内心はみすかされているらしい。


「一応今も仕事中なので。」


「そうだったわね・・・。まったく・・・。それじゃ彼を呼んでちょうだい。」
残念そうな顔を浮かべた後、元の表情に戻る。
そこには先ほどまでの冗談は見えない。


「わかりました。それではよろしくお願いします。」


「悪いようにはしないわ。確認するだけだもの。」
それを聞くと従者は一度部屋を出る。


「それでは失礼します。・・・にこぇ。」
そして、部屋の外で待つ彼を呼ぶ。


「たぶんなにもされないと思うけど・・・一応なにかあったら声上げてね。」
やはり心配は残るのだろう。そんなことは起きないと彼女が一番分かっているだろうが。


「やっぱ・・・吸血鬼って言うからには緊張するな・・・。」


「小さいからって気を緩めないでね。あれで何百年も・・・」


「咲夜ぁ~まだぁ~?」
笑い交じりのせかす声が部屋から響く。


「それじゃ・・・がんばってね。」


「あぁ。」
ようやく覚悟を決めて部屋へと入る。
中は真っ暗といっていいほどの暗さでなにも見えない。



そしてその闇の中からはっきりとした声。




「ようこそ。紅魔館へ。」







こうして、俺の幻想郷での生活が始まった。






「んじゃ今日は割り算やるか。い・も・う・と・さ・ま。」


「わりざん・・・?かけざんはおわり?」
鉛筆とノートを持ったフランが机に腰掛ける。


「あぁ。掛け算は簡単だっただろう?」


「そうだね~!とっても簡単だった!」
昨日書いたページを指さして無邪気な笑顔がこちらを向いた。
字の綺麗さは褒められたものではないが、字というものを理解したのは十分褒めるに値する。


「いちかけるいちはいち!いちかけるにはに!」
フランが昨日のページを復習がてら読みあげる。


「そうだったな。一個の石を一回だけお皿に乗せると一個。二回だけ載せると二個だったな。」
丁寧に絵まで書いて残してある。
お皿に乗っているのは石なのか、饅頭なのか区別はつかないが。


「そして!にかけるにはよん!さんかけるさんはきゅう!」
手で4や9を指折ってこちらに突き出して見せる。
いまだに二桁以上は数えられないらしく、フランにできるのは3×3が限界なのだ。


「よし、良く出来た!それじゃ今日は割り算を新しく教えるぞ。」
新しいという言葉を聞いてフランの手がしっかりと鉛筆を握る。
これも、握った途端鉛筆が壊れなくなったことを思い返せば大きな進歩だろう。


「わりざん!たしざんとひきざんとかけざんの次!」
楽しそうに新しいページをめくる。
そして鉛筆はノートに向けて、きらきらと目を輝かせてこちらを見ている。


「よし。割り算ってのも簡単だ。スペカに挑んだ数と取られちゃった回数を使うんだ。」


「スペカ?フランは取られたこと無いよ?」


「というか・・・妹様の場合はスペカに入る前に終わっちゃうんだよな・・・。」
スペカに入ってしまっては被害が大きすぎる、とのことを咲夜に言われた。
実際にフランのスペルを見たことはないが、周りの話を疑いたくなるほどの破壊力らしい。


「それじゃパチュリーさまのスペルを使ってみよう。
  霊夢が二回ロイヤルフレアに挑みました。」


「れーむが・・・ろいやるふれあ・・・に・・・2かい・・・。」
ノートにしっかり書きこんだのを見て続ける。


「そして、一回スペカを取って、一回は取れませんでした。」


「一回・・・とって・・・一回・・・取れなかった・・・。」


「よし。それじゃ問題。もう一回霊夢がロイヤルフレアに挑んだらスペカは取れるでしょうか?」
すると、それを聞いたフランの目が丸くなる。


「え?次やったら取れるか?そんなのわからないわ。」


「それじゃ二回挑んで二回とも取れていたら?」


「それなら次もきっと取れるわ。だって全部とれてるんだもの。」


「そうだな。それじゃ二回挑んで二回とも取れてなかったら?」


「それだとたぶん次も取れないと思うわ。」


「よし。それじゃここから新しいところだ。まず引き算で使った『引く』って記号を書いて。」


「あの横の線だよね・・・。かけたよ!」


「そしたら・・・その下にスペカに挑んだ数を書くんだ。」


「今回は・・・2・・・だよね!」


「そうだね。そして上に取れた回数を書く。」


「えっと・・・1でいいの?」


「あぁ。・・・書けたかな?それじゃ、この意味を説明しよう。」
すると俺は腕を組んで得意げに鼻をならす。


「あ!にこぇの『説明もーど』だ!」
なにやら足し算のときに見せたこの格好が面白かったらしく、フランのお気に入りらしい。
引き算の時に「またやって!」と頼まれて以来、ずっとこの調子だ・・・。


「これは『霊夢がロイヤルフレアに挑むと、二回に一回は取れる』という意味だ!」


「れいむがろいやるふれあにいどむと、にかいにいっかいはとれる・・・といういみだ!!」
フランも腕を組んで真似をして言ってくれる。
こうした方が覚えがいいのだから文句は言えない。


「つまり・・・また霊夢が二回ロイヤルフレアに挑んだら、何回とれると思う?」


「さっきやった時は二回に一回取れたから・・・今度も二回に一回だよ!」


「そうなるな。それじゃ、美鈴がご飯を勝手に食べようとして何回やっても咲夜に止められる。
  そして今日もお昼ごはんに手を出そうとしたら止められる?」


「止められる!だって何回やったってできないなら次もできないから!」


「そういうこと。それじゃ・・・パチュリーさまが一昨日も昨日も図書館を出てこなかった。
  それじゃ今日も図書館の中にずっといるかな?」


「ずっといる!だって一回も外に出てないんだから!」


「そういうこと。それじゃ、今日はここで終わり!明日はちょっと難しくなるからな。」
そういうとノートを閉じたフランが鉛筆を置いて外へ出て行こうとする。


そして、部屋の扉を開けようとしたとき、俺の方を向いて
「にこぇ!ありがとう!」
そう残して扉の向こうに行ってしまった。


「ありがとう・・・か。」
そんないつものことに浸りつつ、俺も部屋を出る。


バタン

廊下に出たとたんに声をかけられた。


「あら、もう妹様の勉強は終わったのかしら?」
部屋を出たとたんにパチェと会った。
本を持ち歩いていないところを見ると、今日は忙しくないようだ。


「えぇ。ちゃんと覚えててくれてるみたいで何よりです。」


「そうね・・・あの子がちゃんと勉強するなんてほんと嘘みたいな話よね・・・。」


「あはは・・・あんまり冗談じゃないですよね・・・それ。」


「でも、あなた以外にはできなかったことでしょうね・・・。」


「そうですか?パチュリー様の方が教えるのは上手だと思いますよ?」


「えぇ、教えるだけなら私にでもできるわ。でも、あの子を学ぶ気にさせることはできないわ。」


「そうですかね・・・。たぶん頭の中身が一緒なんでしょう。」
笑いながら冗談を返す。


「そんなこと無いわよ。あの子があなたみたいに冗談言えたら驚くわ。」
パチュリーはいつもの調子で言葉を返す。


「それは面白いですね。妹様が冗談言うようになったら。『夜のお勉強』とか言ったりして。」


「かもしれないわね。」
2人して笑いあう。
最初はすごい魔女と聞いてどんな恐ろしい老婆かと思いきや、普通の女の子で驚いた記憶がある。


思えば、この館の主であるレミリアもフランも幼い女の子ぐらいの身長しかなく、一番身長が高いのは咲夜だった。
そして俺がここに来たせいで一番高いのは俺になった。でも俺の身長も咲夜とそんなに変わらないんだが。


咲夜が幻想郷というところに戻らなきゃいけない、と言い出したときは何かと思った。
なんでも、彼女は幻想郷というところのある館のメイドらしく、こちらの世界には一時的にしか居られないらしい。
そして戻るときに、俺も一緒に来てほしいと言われたのだ。


まぁそんな長いこと彼女と一緒にいたわけではないが、いまさら離れるのも嫌だったのでほいほい着いてきたわけだ。
そのことを彼女はとても喜んでくれたのだが、一つ問題が。


彼女はその館のメイドということで仕事も家もある。だが俺には完全に未知の場所なわけだ。
ちゃんと人間のいる場所はあるというのだが、全く知らない場所で過ごして行ける自信はない。


そこで、彼女がレミリアに頼んで、俺をこの屋敷、紅魔館で雇ってくれないか、という話になったそうだ。
正直、妖怪に魔女、更には吸血鬼までいると聞いて好奇心よりも恐怖が大きかった。
だが、自分でついていくといった以上こうしてなんとか居場所を作ってくれる彼女には、感謝こそすれそれを拒むことはできない。


そして、直にレミリアと会って相談したところ、「妹の面倒を見てくれ」と言われたわけだ。
なんでも、ものすごいわがままな妹らしく、手がつけられないらしい。


てっきり吸血鬼だから「血を吸わせろ」だとか言われるもんだと思ってたから、そんなことかと肩の力が抜けてしまった。
そしてそれを見透かしたレミリアにつけこまれ、いろいろと勝手なことをしゃべってしまった。
後で咲夜に怒られたが・・・。


こうして、俺はなんとか居場所を見つけてここにいる。


最初は全然違う生活に戸惑ったものの、フランやレミリアやパチュリー、そして咲夜に助けられて、今では何の違和感もなく寝床につけるようになった。
まぁ電気やテレビがないのは不便かもしれないが、そんなものに困らないぐらい刺激的な日常に、むしろ不必要なのかもしれないとまで思うようになった。


何より、フランの面倒を見る、というのはなかなかに骨の折れる生活だ。
朝起きてから夜眠るまで、彼女の体は休むということを知らない。
実際、彼女が眠っている間は恐ろしく静かなのだ。
しかし、そんなことを気にする暇もないぐらい俺も疲れてる。


さて・・・今日もフランに勉強を教え終わり、あとは夕飯までなにもなければ寝るだけだ。
外はもう日が落ちかけている。流石に外に出るやつもいないだろう。


夕飯には少し時間があるが眠れるほど時間がないので、美鈴のところへ行ってみる。
彼女はおそらくこの館で一番人間らしい妖怪だ。魔女も妖精も吸血鬼も含めてな。
俺がこの紅魔館に来た頃は、仕事場所の違いがあってほとんど顔を合わせることはなかった。


だが、仕事に慣れてちょっと時間があいたときに声をかけてみるとなかなか面白い奴だった。
向こうは仕事が暇らしく、いつも眠そうにしているから、話している方が仕事になるのだろう。
だが、後でいつも咲夜に叱られているらしい。
門番なんて退屈だろうに・・・。そりゃ眠たくもなるわなぁ・・・。


「よぉ美鈴。今日は起きてるのかい?」
いつも通り声をかけてみる。レミリア達とは違って敬語なんて堅苦しいものは無しだ。
最初に「お・・・おはようございます・・・美鈴さん・・・。」なんて言った時は大笑いされたからな・・・。
こんな屋敷の門番を任される肉体派の妖怪。しかも拳法使いと来たもんだ。誰でも恐れ抱くもんだぜフツー。


「あ、こんばんはにこぇさん。妹様のお勉強は終わりましたか?」
向こうもいつも通りだ。
腰掛け椅子に座って腕を組み、いつでも眠れる状態で座っている。


「あぁ。今日は割り算を少しだけ。あんまり長いと飽きちまうからな。」


「飽きても寝ないのが妹様ですからね。怒って暴れ出したら手がつけられませんから。」
笑いを隠さずに返してくる。


「飽きて寝てくれるなんて考えられない生徒だからな・・・。」


「にこぇさんのいたとこじゃ勉強に飽きると寝ちゃうんでしたっけ?」


「そうだな・・・飽きたとかじゃなく始まった途端寝るやつもいたけどな。俺とか。」


「勉強か・・・私は体を動かす方が好きですね。」
美鈴が椅子から立ち上がり背伸びをして見せる。


「そうだよな。『私勉強大好きです!』なんて言われたらどうしようかと思ったぜ。」
声を高くしてふざけて見せる。
こうした冗談が言えるのは咲夜と彼女とぐらいのものだ。


「あら、じゃあ私の授業でも受けてみますか?退屈させませんよ?」
拳をこちらに突き出したまま、目は笑っている。


「夜誘ってくれるんなら喜んで受けに来るぜ。」


「あら、私は体力ある方ですよ?先にバテないでくださいね。」


「冗談だよ。そんなことしたら咲夜に怒られちまうからな。」
流石にこれ以上はまずいと思い、話を戻す。
こんなところを咲夜に見られたらなんて言われることか・・・。


「私も咲夜さんじゃ分が悪いですからね・・・でも体を動かすのはいいことですよ?」
拳法の動きの一つなのだろうか。
流れるような手足の一つ一つが、見ている者にとって美しいと思わせる何かがある。


「そうだな・・・俺も時間があったら何かやってみるかな。本はたくさんあるんだし。」


「あそこに私たちが読める本はありませんよ。お嬢様ですら読めないんですから。」


「らしいな。全く・・・あれだけの本を全部読むってんだから・・・さすがは魔女だぜ。」


「さすがは七曜の魔女、ってところですね。」


「火をおこして水出して・・・便利なことこの上ないぜ。」


「ほんとですね・・・私もあれだけ魔法が使えたらなぁ・・・。」
何やら目を閉じ、手を前に出して口を動かし始める。
確かにパチュリーの詠唱に似てはいるが、彼女の周りには何も起こらない。


「美鈴が魔法使えたらすごいだろうな。手足も魔法も使えるんだからさ。」


「私の場合、気も合わせて・・・何の魔女なんでしょうね?八曜・・・じゃないですから。」
そのまま目をつぶって考え始める。
俺も、「うーん・・・」と考え込むもののいい答えは思いつかない。


「まぁ美鈴は美鈴だよ。魔法なんか使えなくてもさ。」
結局思いつか無かった俺は、笑いながらなんとか誤魔化そうとする。


「あはは、私も思いつきませんでしたね。」
向こうも目を開けて笑いだす。


「それじゃ・・・俺はそろそろ戻るかな。」
美鈴と話しているうちに日も落ち切ったようだ。
おそらく夕飯の時間も近いだろう。


「ちゃんと夕飯持ってきてくださいよ?私いっつもお腹ペコペコなんですから・・・」
苦しそうに両手をお腹にあて、椅子に座る美鈴。
音こそ出ないものの、美鈴の空腹具合は十分伝わった。


「わかったわかった。ちゃんと咲夜に言っておくよ。それじゃ。」
笑いながらそういうと、俺は手を上げて門をくぐり館の中へと戻る。


「さて・・・厨房に向かうか・・・。」
おそらく咲夜がすでに調理に取り掛かっているだろう。
俺も手伝わなくては。


厨房に付くと、すでに何食かは完成して持って行くだけとなっていた。


「にこぇ。それをお嬢様のところにもっていってくれる?」


「これか・・・それじゃもう一つは妹様か?」


「それはパチュリー様に。今作ってるのが妹様の分よ。」


「今日は図書館にもっていくんじゃないのか。珍しく一緒に『いただきます』か?」
手を合わせる動作をするが、咲夜は目もくれずに調理を続けている。


「何やらお嬢様と話をしていたらしいわ。それでそのまま一緒に。」
ようやく最後の一品が終わったのだろう。
火を止め、フライパンを流し場に置き、できた料理を持ってこちらに来る。


「なるほど・・・それじゃそれ持ってきてくれ。」
両手がふさがっているので、目線で指し示す。


「私はナイフとフォークを持っていくから。さっさと持って行って帰ってきて。」


「了解しました料理長殿。」
語尾を残したまま、食卓へと向かう。


「にこぇー!今日は何~?」
俺に気付いたフランが声をかけてくる。
椅子を揺らして自分の分が来るのを心待ちにしているらしい。


「今日はスパゲッティらしいな。服汚すなよ?」


「大丈夫だよ!フランの服赤いから!」
そういって自分の胸元をつかんで突き出してくる。


「ははっ、ミートソースは落ちにくいからな。咲夜に怒られるぞ?」
そういいながらレミリアのとパチュリーの前にスパゲッティを置く。


「あら。ありがとうにこぇ。」
俺に気付いたレミリアがこちらを向く。
なにやら熱心にパチュリーと喋っていたらしい。


「いえいえ、どうも。 パチュリー様どうぞ。」
そう言って、パチュリーの前にもスパゲッティを置く。


「あら、フランにはあれだけ喋ってたのに。私には冷たいのねにこぇ。」
フランの分のスパゲッティを取りに戻る途中でレミリアに声をかけられる。


「お嬢様。顔は見えませんが笑ってるでしょう?」


「あら、私の顔が笑ってるように見える?パチェ。」


「こういう場合は笑ってるっていうんでしょうね。悲しい顔してるけれど。」
いつもと変わらない口調でパチュリーの回答が帰ってくる。


「お嬢様がパチュリー様とばかり喋ってるからですよ。」
俺はそう言い残して厨房に戻る。


「そうだよ!パチェも久しぶりに一緒にご飯食べるんだからしゃべろうよ!」
それを聞いたフランが身を乗り出す。
先にスパゲッティを持っていかなくて正解だったようだ。さすが咲夜。


「それじゃ、にこぇがちゃんと勉強を教えてるのかテストしましょうか。」


「なんと!?」
いきなりの提案に驚かざるを得ない俺。
確かにフランはちゃんと勉強を覚えているが・・・ノート無しで大丈夫なのか!?


「ちょっと待ってくださいよお嬢様!」
急いでフランの分のスパゲッティを持って厨房から出てくる。


「あら、勉強を教えてる先生がそんなこと言っていいのかしら?」
意地悪そうな笑顔でレミリアが応える。


「大丈夫だよにこぇ!フランいっぱい覚えたもん!」
満面の笑みでフランが返してくる。
この笑顔じゃ反論できないな・・・。


「はぁ・・・わかった。頼んだぞ・・・。」
スパゲッティを置くときにフランの目を見て最後の言葉をかける。
これで間違えでもしたら・・・俺の立場が・・・。


「うふふ・・・それじゃ問題を出しましょうか・・・。」


「お嬢様?パチュリー様の方を向いて言わないでください?」


「あらにこぇ。私はパチェの方を向いただけよ?相談しようとはしてないわ。」
くそっ・・・横目でこっちを向くんじゃねぇ・・・。


「一応断っておきますが・・・妹様は掛け算までしか・・・」


「あら。今日は割り算までやったんじゃなくて?」
しっかり把握されやがる・・・


「そこまでわかってるんならおとなげない問題は出しませんよね。」
俺にはこの程度しかかみつくことができない。


「あら・・・大丈夫よ。勉強の理解度を見るだけだわ。」
とてもそんなこと言って納得できるかおじゃねぇのに・・・。


「・・・わかりました。」
俺も覚悟を決めた方がいいな・・・。


「それじゃ・・・フラン。問題を出すわ。1たす4かける2は?」


「なっ!?」
まずい・・・!掛け算が先ってことはまだ教えていないはず・・・!


「えっと・・・1たす・・・」
フランが口に出して考えだす。
すでに結果が見えたレミリアはフランよりも俺の方を覗き込むように見ている。


「・・・お嬢様の意地悪。」
小声で最後の抵抗を試みる。


「あら。与えられた条件はクリアしたわ。その上での問題だったはずよ?」
レミリアの性格を考えればこうなることは予想できていたのに・・・。


「できたー!」
そんなことは露も知らず、フランが顔を上げる。
すでに目の輝きがとどまることを知らない。


「執行猶予は終わったようね。にこぇ。」
すでに口の端に笑みが見える。


「答えはー!」


「南無三・・・。」
ぼそりとつぶやく。


「きゅうー!」
フランが大声で答えを発表した。


「え?」
お嬢様と素晴らしく息の合ったコメント。
フランの顔を見る限り冗談ではないらしい。


「妹様・・・?」
確かに掛け算から先にやることは教えていないはずだが・・・。


「・・・くっ。正解よ・・・フラン。」


「やったー!できたよにこぇー!」


「あぁ・・・よく出来たな。・・・妹様。」
ようやく、ほっと胸をなでおろす余裕ができた。


「それにしても・・・1+4は5のはずよフラン?」
流石に聞かずには居られなかったのろう。
レミリアがフランの方へ向く。


確かに・・・いつも通りならそっちから先に計算するはず・・・。


「だって5×2じゃ9より大きくてわからないんだもの。」
フランはさも当然のように答える。


「あ・・・なるほどな。」
思わず笑わずにはいられない答えだった。
ついレミリアの前だというのに吹き出してしまう。


「にこぇ?どういうことなの?」
このままでは食いさがれないのだろう。
レミリアがこちらを向きなおす。


「実は・・・妹様は二桁以上の数字が数えられないらしいんですよ。」


「・・・そういうことね。やられたわ・・・。」


「前提条件の不揃いによりもう一問・・・かしら?レミィ?」
意地悪そうにパチュリーが口を挟む。


「問題を出し直す?もう一度やり直すのかしら?」


「やめましょう。早く食べないと夕飯が覚めてしまうわ。」
いつもの顔にレミリアが戻ると同時に咲夜が厨房から出てくる。


「あら、スパゲッティの時間は止めてありますわ。いつでも温かいままですわよ?」
俺の方を見てそんなことを挟む。


「フランおなかすいたー!おゆはんー!」
フランがフォークを取る。
もう一問はなさそうだな・・・良かった・・・。


「それじゃ食べましょうか。いただきます。」
「いただきます。」
「いただきまーす!」


レミリアの号令に2人も合わせる。
ふぅ・・・ようやく夕飯の始まりか・・・。


いつもはフランとレミリアだけでこうも賑やかにはならないんだがな。
まぁたまにはこういうのもアリか。こちらが緊張するのはやめてほしいところだが。







「良かったわね。妹様が間違えなくて。」
食器を洗っているときに咲夜が声をかけてくる。
テーブルを拭き終わって一息ついているらしい。


「まったく・・・あの後もう一問出されたら絶対間違えてたぜ。」
こちらは洗い終わった皿を拭いてしまっているところだ。


「横から口出したのに駄目だったわ。」
壁に軽くもたれる咲夜の声がやたら響く。


「全く・・・そこは口出すとこじゃねーだろう。」
吹き終わった皿を重ねて、棚へと戻す。
妖精メイドでは高さが足りないとのことで咲夜の専門だったらしいが、今は俺に役が移った。


「だってどうなるか見たいじゃない。妹様が間違えちゃった場合。」
主に似て含み笑いは隠さないらしい。


「口を押さえてもわかるぜ・・・全く・・・。」
戸棚を閉め、俺も咲夜の方に向きなおる。


「それじゃ・・・戸締りの確認に行こうかしら・・・。にこぇは?」


「俺は・・・そのまま寝るかな。やることもないし。」


「あら・・・もう館を歩き回ったりしないの?」
咲夜の口の端がまたくっと上がる。


「もうしねーよ。迷子は慣れっこだけど・・・もう一通り見て回ったからな。」
ここに来た当初は子供ながらに見た洋館に胸膨らませたもんだが・・・いかんせん広すぎた・・・。


「そっか。それじゃおやすみなさい。」
そういうと咲夜は厨房から廊下に出て行った。


「さて・・・それじゃ美鈴に飯でも・・・。」
電気を消し終わり、手に自分の分と美鈴の分の食事を持って廊下に出る。
妖精メイドもすでに部屋に戻っているので廊下には誰もいない。


「にこぇ!」
いきなり後ろから声をかけられる。
声の主は見るまでもないが。


「どうした?妹様。」
向き直って返事をする。
何やら手にはいつものノートと鉛筆を持っている。


「さっきのお姉様の問題ってあれで合ってたの?だって1+4は5じゃない。」
勉強熱心な生徒らしいな。教えている身としては非常にうれしいことだ。


「あぁ。あれは掛け算から先に計算するんだ。」


「たとえば1+2+3ってのがあるとして・・・答えはいくつだ?」
フランがノートと鉛筆を手に持ったまま考えだす。


「えっと・・・答えは・・・6!」


「それじゃ最初の二つを入れ替えて2+1+3は?」


「んーと・・・それも6だよね。」


「そうだな。んじゃ1+2×3は?」


「えーっと・・・3×3だから・・・9!」


「・・・一応置いとこう。んじゃ後ろの二つを入れかえて1+3×2は?」


「これは・・・4×2で・・・8!・・・あれ?さっきと答えが違うよ?」
フランが首をかしげる。


「そうだな。掛け算と足し算を一緒に計算するときは掛け算から計算しないと答えが違うんだ。」


「えっと・・・かけざんと・・・たしざんを・・・」
フランが廊下にノートを置いて書き始める。
「ここで書くのは・・・」と思ったが、そんなに書くことでもないので気にせずにおこう。


「ってことは・・・さっきのお姉様の問題はあれで合ってたんだね!」
書き終えたフランが廊下に座ったままこちらを見上げる。


「そうだな。間違えなくてよかったよ・・・間違えたら今頃お嬢様になんと言われるか・・・。」
想像するとちょっと怖い・・・。


「なるほど・・・かけざんからけーさんすればどっちも答えは一緒だね!」
フランがさっきの問題をノートに写して計算している。
いい生徒を持ったもんだ・・・。


「そういうことだな。ちなみに、引き算と掛け算の時も掛け算から計算しないといけないからな。」
ついでにこっちも言っておこう。
明日は引き算と掛け算の問題かもしれないからな・・・。


「ひきざんも・・・かけざんから・・・けーさん・・・っと。」
ちなみに漢字は書けない。
そもそも教えたのが平仮名でよかったのかどうか疑問である。


「書けたー!にこぇありがとー!」
書き終えたフランがノートを閉じて立ち上がる。


「よく出来ました。それじゃ今日も早く寝るんだぞ?」
ご褒美に頭をなでてやる。
お風呂に入った後らしく、少し水気が残っている。


「んじゃ今日も本読んで!」
まだ元気が残っていたようだ・・・。
そろそろ寝る時間だと思ったんだが・・・。


「わかった・・・それじゃフランの部屋に行くか!」
ここで無理に部屋に返すと今度は咲夜が呼ばれるのでおとなしくついていく。
家事全般をそつなくこなす咲夜でも、さすがにフランの世話は遠慮がちらしい。


「今日は何読んでもらおうかな~♪」
すでに絵本選びが始まっているらしい。
実際、彼女の部屋には選ぶのに困らない数の絵本がある。


「あんまり長くないのにしてくれよ・・・?」
夕飯は厨房に置いたままだし・・・。


「大丈夫だよ~。絵本だしね~♪」
おそらく頭の中でいろんな絵が回っていることだろう・・・。







そんなことを考えているうちに彼女の部屋に着いた。
フランが選んだ本を持ってくるまでの間、俺は普段ノートが広がっている机に座っている。
彼女が腰掛けて書き込む机なので腰掛けるにはちょうどいい高さなのだ。


「にこぇ~あったよ~!」
お探しの絵本が見つかったらしい。
本を片手にこちらにパタパタと走ってくる


「どれどれ・・・『いぬさくや』・・・?」
本のタイトルに吹き出しそうになる。
表紙の絵の犬耳が似合いすぎているような・・・。


「咲夜とおんなじ名前なんだよ~♪」
なるほど・・・本をぱらぱらとめくってみるとどうやらこの『いぬさくや』もメイドらしい。


「よし。それじゃ一冊読んだら寝るんだぞ?」
そういいながら俺は、彼女のベッドの横に腰掛ける。


「はーい♪」
そういうとフランは、俺の脚の上に座り込む。
いろいろと恥ずかしいのだが、この位置が一番見やすいらしい。


「それじゃ・・・『いぬさくや』」
タイトルを読みあげる。


「はじまりはじまり~♪」
パチパチと紙芝居のようなフランの拍手が入る。


「『むかしむかしあるところに』・・・








「『・・・でした。』終わり。」
10分ほどして読み終わる。
なかなか絵本らしい絵本だった。


「ありがと~!面白かったね~♪」
フランも満足してくれたらしい。
もう一度本をめくってあのページやこのページを開いては自分で読んでいる。


「それじゃ・・・俺もそろそろ寝るかな。」
あくびをかみ殺して立ち上がる。
まだ眠りには程遠そうなフランが俺の方を向く。


「にこぇは眠いか・・・おやすみにこぇ!」
少し寂しそうだが、一緒に寝るわけにもいかんだろう。


「それじゃ・・・また明日な妹様。おやすみ。」
そう言い残して俺はフランの部屋を出て、自分の部屋へ戻った。






朝9時。
朝日の差さない部屋の中で俺は起きた。


やはり吸血鬼の館というだけあって、ほとんどの部屋に窓は無い。
日が差し込むなんてのは、せいぜい廊下と食堂ぐらいのものだ。


「ふぁ・・・着替えるか・・・。」
あくび一つ残して俺はベッドを出て身支度を整える。


俺の部屋はレミリア達の部屋とはだいぶ離れている。
おかげで周りの部屋は空室だらけで、夜には物音一つしない。


気を使ってくれたのか、気を使われたのかは分からないがあの主のことだからどっちでもないのだろう。
フランの部屋まで毎日5分ほど歩くのはいい運動だしな・・・。


さて・・・それじゃ朝飯でも食ってくるか・・・。
フランの部屋に行く前に厨房に向かう。





「あ・・・。」
厨房を開けた俺の目に入る二つのスパゲッティ。
すでに冷めているだろう事は問題じゃない。問題は『2つ』ということだ。


「美鈴・・・すまん・・・。」
すぐにフライパンで温め直し、両手にスパゲッティを持って門の方へと走っていく。


「美鈴すまん!昨日は悪かった・・・」
手を合わせて謝るが美鈴はこっちを向いてくれない。


「えっと・・・美鈴・・・さん・・・?」
顔色を伺おうにもこちらを向いてくれないのでは判断しようがない。


「・・・・・・さ・・・ん・・・」
ようやく美鈴がしゃべった・・・ようだ・・・?


「なんだって・・・?美鈴?」
よく聞こえず、もう一度聞き返す。


「にこぇさぁん!」
いきなりこちらを向きなおす美鈴。


「うわっ!美鈴!?」
びっくりして一歩後ずさる。


「に・・・こぇ・・・さぁん・・・」
髪で顔が良くわからなくなってしまい、またもや様子をうかがうことに・・・。


「美鈴・・・ご飯持って来たぞ・・・?」
いまさら手に持ったスパゲッティを前に出す。
すると美鈴の顔がこっちを向いた。


「ご・・・ごはぁん!!?!?」
いきなり美鈴がこっちの向かって走り出してきた!


「!?」
声を出す間もなく美鈴の突進を腹で受け止めることに・・・。


「ぐはぁ・・・」
吹っ飛ばされ、そのままばたんきゅー・・・。
しかし倒れる前に御飯だけはしっかりとキャッチする美鈴。


「スパゲッティじゃないですか!しかも美味い!
  さすが咲夜さんこの味加減といい湯で具合といい美味い!」
美鈴のスパゲッティをむさぼる音を聞きながら意識がゆっくりとフェードアウト・・・。


「ぷはぁ~満足満足♪ 量はちと足りませんがそこは質でカバーです!」
食べ終えた美鈴が食器を置いて手を合わせる。
現在俺のアンインストール80%完了・・・。


「っと・・・ご飯があるってことは・・・にこぇさんが持ってきてくれt・・・」
そこで倒れている俺を発見し、急いで駆け寄ってくる美鈴。


「にこぇさん大丈夫ですか!?あの黒いのにやられたんですか!?」
俺を抱きかかえ、情報を聞き出そうとする。


「めい・・・り・・・ん・・・」
現在アンインスト93%でも何かを伝えようとする残り7%の俺。


「にこぇさん・・・」
必死に涙を見せないようにする美鈴。
しかし、涙は重力には逆らえない。ゆっくりとその頬を伝い落ちてくる。


「あぁ・・・もう・・・めいりんの・・・かおも・・・みえな・・・」
ピーッ・・・俺のアンインストール完了。
それを示すように俺の体から力が抜け、美鈴の膝へと倒れ落ちる。


「にこぇさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
美鈴の叫びはもう俺には届かない・・・。


「うぅ・・・にこぇさん・・・私を置いていくなんて・・・」


そのとき・・・美鈴の膝に何か動くものが・・・


「にこぇさん!生き返tt・・・」
感動の表情を見せる美鈴の目に飛び込んだにこぇの表情は・・・


「美鈴の・・・太もも・・・(*´Д`)ハァハァ」
天国へ行くことができた至極満足な表情だった。


「ふともも・・・ハァhグハァ!」
天国にも届く美鈴の鉄拳。


「はっ!?ここは・・・紅魔館!?さっきまでのモチモチの枕はどこへ・・・」
いきなり現世に戻される俺。
目の前にはいつもの光景と拳を握りしめる美鈴の姿が。


「それじゃ今度は固い固い砂混じりの枕を・・・」
そのポーズのままゆっくりと近づく美鈴。


「顔が笑ってないぜ美鈴!?冗談だって!」
全力で元に戻ったことを示す俺。
これ以上やると本気で天国行く可能性が・・・。


「にこぇさぁん・・・」
美鈴が口から空気が漏れる音が聞こえそうな形相でなおも近づいてくる。


「ちょっ・・・美鈴マジでやめ・・・」
美鈴の拳が届く範囲になった・・・。






美鈴の拳がかすかに震えたのが俺の最後に見た光景になtt







「なんて変なこと考えないでくださいよ?」
突き出した拳を寸止めした美鈴が笑っている。
一方の俺はゆっくりと目を開け現状を把握する。


「はぁ・・・笑えない冗談だぜ美鈴・・・」
安堵のため息でようやく立ち上がる。
顔に当たった拳圧から突き出していた時を想像すると本当に笑えない・・・。


「まったく・・・それはこっちのセリフですよ・・・本気で心配したんですからね?」
ようやく拳を戻した美鈴が怒ったような表情で返してくる。


「人間と妖怪がどれぐらい違うのかなんて分かんないんですよ。黒いのは私の拳なんか当たりませんし。」
美鈴がちょっとうなだれる。
自分で言っていて少しへこんだらしい。


「なるほどな・・・まぁそこまでヤワじゃないが・・・流石に本気で殴られたら死ぬぜ。」
笑いながら答えるが・・・当たっていたら笑い事じゃ済まなかっただろう・・・。


「そういえば・・・スパゲッティ二つありましたけど一つにこぇさんのでしたか・・・?」
そういえばそんなことを・・・と思わずにはいられないことをおずおずと美鈴が切り出す。


「あぁ・・・そうだったけど大丈夫だろ。今から朝食だし。」
それに昨日はあまり腹も減ってなかったしな。


「そうでしたか・・・ごちそうさまでした・・・。」
深く頭を下げる美鈴。
ご飯に対する礼は厚いようだ。


「ふぅ・・・朝からとんでもない目にあったぜ・・・。」



「こっちだって昨日の夜は空腹で眠れなかったんですからね!?」
目で訴える美鈴。
あの突進を見れば冗談には聞こえない・・・。


「あはは・・・悪かった・・・。昨日は妹様のとこ行ってそのまま寝ちゃってさ・・・」


「妹様と寝た!?にこぇさん!?」
何か変にとらえる美鈴。
体全てを使って驚きを表している。


「あぁ、違う違う。部屋出て自分の部屋に戻って寝たんだ」
言ったことに気づいて言い直す。
そんなことしたら咲夜に・・・これ以上想像したくないぜ・・・。


「ですよね・・・お嬢様が何と言う事か・・・」
そういえばレミリアの妹だったな。
精神年齢にものすごい差はあるが。


「ここを追い出される・・・で済めばいいんだがな・・・」
妹を寝取られたとなれば・・・それこそ息の根を止めるどころではないだろう・・・。


「あはは・・・あんまり想像したくないですね・・・」
向こうも同じような事を考えたのだろう・・・。


「ふぅ・・・それじゃ俺も飯食いに行ってくるかな・・・。」
ようやく腹が減ってきたようだ。
それにそろそろ妹様も起きるだろう。


「そうですね・・・それじゃお互いお仕事がんばりますか!」
美鈴が気合いを入れ直す。
お仕事か・・・ほんとに仕事なんだろうな・・・?


「そうだな。それじゃまたあとでな」
彼女に昼食は無いので次は夕方あたりになるだろう。


「いってらっしゃいませ~♪」
門をくぐる俺に美鈴が一言かける。


「簡単に通すなよ・・・門番だろう・・・?」
まぁ止められたら俺じゃ通れないんだが。


「言ってみただけですよ。普通は言えませんし。」
確かに門の外に出るなんて誰もしないしな・・・。
せいぜい咲夜が買い出しに出るぐらいのものか。今は俺が買い出しだが。


「はは・・・それじゃいってくるぜ。」
それっぽく返して屋敷に戻る。
さて・・・飯食って妹様のとこに行くか・・・。







手みじかに朝食を済ませた俺は妹様の部屋を目指して食後の運動程度に走る。
美鈴みたいにいきなり突進されたら朝食をまた見る羽目になりそうだ・・・。


「妹様ぁ~起きてるか~?」
部屋の前に付き、ノックしながら扉越しに呼び掛ける。


「にこぇー!起きてるよー!」
扉越しでもよく聞こえる声が返ってくる。
昨日はちゃんと寝たようだ。起きていたら今も寝ているだろうし。


「んじゃ顔洗ってきな~、たぶん咲夜が朝食作ってるから~。」
吸血鬼といえどちゃんと朝飯は食べるらしい。
咲夜が時間を間違えるわけがないのでおそらくもう取りかかっている時間だろう。


「はーい!」
中でパタパタと走る音がする。
五分ほどしてフランが部屋の外に出てきた。


「今日の朝食なんだろうね~?」
もうすっかり眠気は覚めたらしい。
いつもの調子でフランがしゃべりかけてくる。


「いつものトーストかもな。朝から腹にたまるもんは出ないだろうぜ。」
まぁ咲夜のことだし何作っても美味いんだろうが・・・。


「楽しみだよねー!咲夜の朝ご飯ー!」
この反応を見る限りやはりトーストは美味いのだろう・・・
トーストを美味く作るってのは・・・さすが咲夜。


そんなことをしゃべりながら食卓へ。
すでにレミリアが自分の席に座っていた。


「あらおはようにこぇ。ちゃんと生きてるじゃない。」
こちらを見て笑うお嬢様。
あれ絶対嬉しい笑いじゃないって・・・


「えぇ・・・美鈴にちょっと三途の河を見せられてきまして・・・。」
どうやら彼女にこの館付近で起こることは筒抜けらしい。
一回寝坊してギリギリ間に合わせたのにバレたことあったからなぁ・・・。


「まぁあれぐらいで死んでもらっても困るけど・・・ねぇ咲夜?」
厨房の咲夜に聞こえるか聞こえないかぐらいの声量で尋ねる。


「もうちょっとでできるので"静かに"待ってて下さいね、お嬢様。」
静かにを強調した咲夜の声が帰ってくる。
それを聞いて満足したのかレミリアがくすりと笑う。


ちょっとしてトーストの載った皿を両手に咲夜が食卓へ出て来た。


右手の皿をレミリアの前に置く。


そしてフランの方へ向う途中で俺と目があった。
その瞬間、何かにつまずいたのか、皿が傾きトーストが皿から落ちる。


「さくy・・・」
俺が言うのが速いか、咲夜はきちんとトーストの真下に皿を構え直していた。
そして何もなかったかのようにその上にトーストが落ちる。


(便利だよなぁ・・・時を操るなんてさぁ・・・)
そんなことを昔咲夜に言ったら案外そうでもないらしい。
まぁこのあたりは本人にしか分からない何かがあるのだろう。


「どうぞ、妹様。」
「ありがと咲夜ー!」
今日もいつもどおりの朝食が始まる。






「どうかしたのか、咲夜。」
フランがトイレに行っている間に、皿洗いをしている咲夜にさっきのことを聞いてみた。


「どうかしたって・・・何が?」
咲夜は隠す風でもなく自然に聞き返す。


「だから・・・さっきのトースト落としたことだよ。
  今まで一度もなかったじゃねーか、あんなこと。」
あといつもならよろけた瞬間に時が止まるはずだ。
トーストを落とす前に。


「あぁ・・・別に何でもないわ。考え事をしてただけよ。」
洗い物をきちんとこなしながら咲夜が返事をする


「考え事か・・・今日の昼飯とかか?」
ふざけて茶化してみるもやはりこちらを向かずに皿洗い。
まぁこれも仕事の一つだし仕方ないか・・・。


「にこぇー!トイレ終わったよー!」
フランがトイレから出てきた。
自分の部屋にもトイレはあるのに、起きた直後ではなく食後に行くのが日課らしい。


「おぅ。んじゃまたあとでな、咲夜。」
洗い終わった皿を棚に戻している咲夜に一声かけてフランと一緒に廊下に出る。
なにか機嫌悪そうだったが・・・いつもと変わらないから何とも言えない・・・。





朝食の後は昼食までお遊戯の時間らしい。
まぁお遊戯といってもフランと一緒に遊ぶだけなので大袈裟なことこの上ないのだが。


「さて・・・今日は何やろうか、妹様?」
彼女の遊びのレパートリーは館の外に出れないためそんなに豊富ではない。
しかし、いつも違う結果になるので退屈はしない。


「ん~・・・今日は・・・」
目を閉じて頭を使っているフラン。
このあたりはとても500年近く生きてるとは思えない子供らしさだ。


「今日は・・・お屋敷たんけん!」
ぱっと顔が明るくなるフラン。
まぁこの時間はだいたいこの遊びなんだが・・・。


「よし・・・んじゃどこ回る?こないだは図書館に言ったから今日は別のとこな。」
そういうとフランがまた頭を悩ませる。


前回、図書館に行ったのはいいが・・・
扉を開けるや否やパチェに「妹様を中に入れないで」と言われたときはどうしようかと・・・。
そのあと、なんとか交渉して横の空室で本を眺めるだけにするということに落ち着いた。
本当に何が書いてあるのかわからなかったが・・・。


「ん~・・・今日は・・・おねぇ様の部屋に行こう!」
フランが手を上げて目的地を発表する。
よく何百年もいてそれだけ楽しめるなぁ・・・俺なんか地元はもう飽きてたぜ?


「お嬢様の部屋か・・・
  そういえばここに来たときの一回しか行ったこと無いな・・・。」
普段足を運ばない場所ということもあって前を通ることすらないのだ。
テラスで咲夜と紅茶を飲んでいるのは見かけるが、部屋の中で見たのは一回だけである。


「それじゃ・・・しゅっぱつしんこぉー!」
フランが俺の手を引っ張ってレミリアの部屋へ向かう。


目的地に着くまでにも適当に部屋のドアを開けてみたり、出会った妖精メイドと喋ったり、フランといろいろしゃべるので退屈はしない。

そうして館の一階の端まで着いた。
この階段を上がってすぐ隣がレミリアの部屋だったはずだ。


「もうすぐしゅうてんですよ~♪」
バスガイドの真似をするフラン。
幻想郷にバスなんてあったかな・・・?


そのとき、上に上がる階段の隣に下に降りる階段を見つけた。


(この館地下まであるのか・・・ずいぶんと広いんだな・・・)
ちょっと覗いてみたが薄暗くてよく見えない。
日の差さないこの屋敷内で更に地下とあっては真っ暗だろう・・・。


「にこぇー!しゅうてんだよー!」
すでに二階に上がったフランが呼びかける。


「・・・あぁ。今行くよ。」
後で行ってみるか・・・今はフランについていかねば・・・。


「にこぇおそいよ!もうついちゃったよ!」
扉の前でフランがすねている。


フランの後ろにはおそらくレミリアの部屋のものと思われる扉があった。
見た目は他のものと変わらない扉だが、雰囲気の違いは俺でも感じ取れるものだった。


「それでは・・・おっじゃまっしまぁ~す!」
ノックなんて言葉を知らないであろう彼女は精一杯の誠意を払ってドアを開けた。
扉を壊さないことが彼女なりの礼儀なのだ。たぶん。


「おじゃまします・・・。」
部屋の中は一度目よりはずいぶん明るかったものの、それでも日の入りは少なく薄暗かった。


その部屋の主は、いつもよりは一枚薄着で読書中だったらしい。
まぁこんな館の一部屋だ。誰か来るなんて思わないだろう。


「あら・・・いらっしゃいフラン。今日は何を壊しに来たのかしら?」
本よりも面白いものを見つけたレミリアがゆっくりとこちらに目を向ける。


「こわしにきたんじゃないよ!あそびにきたんだよ!」
いつもと変わらないフラン。
一方俺は目を向けられただけで冷や汗が出かかっている。


「あら・・・あなたの遊びに無事ですむものがあるのかしら?」


「フランが壊すんじゃないよ!むこうがかってに壊れちゃうんだよ!」
流石は我らがフラン先生。顧みる心など微塵もない。


「うふふ・・・そうね。それに今日はちゃんとお目付け役がいるものね・・・。」
そういって目線を俺一人に絞るお嬢様。
冷や汗が限界まで耐えきり、つーっと流れ落ちるのが分かった。


「妹様。いますぐこの部屋から出ましょう。俺の命が危ない。」
この場合お目付けというよりは身代わりの方が合っているのだろう・・・。
確かに物が少なそうな部屋だが・・・それだけに一つでも壊したら・・・。


「それじゃ好きになさいフラン。」
さぁギロチンが真っ逆さまに俺向けて落ちてくる。
はたして途中で止まるという奇跡は起きるのだろうか・・・


「妹様・・・俺の命・・・まかせましたよ・・・」
レミリアのあの顔を見る限り前言撤回は無い・・・。
あぁ・・・奇跡よ起きてくれ・・・。


「それじゃえんりょなく~♪」
それを聞いて満足した妹様。
常に遠慮しない彼女がさらに遠慮しないなんて・・・


「さて・・・どうなるかしらねぇ・・・にこぇ?」


「・・・こっちには祈れる神さまとかいないんですか?」


「いるわよ?私の知り合いだけど。」


「吸血鬼と顔見知りの神さまですか・・・」


「それに死ななくたって会えるわよ。喜ぶわよ?『信仰が増えたー!』って」


「・・・現金な神様ですねぇ・・・」


「現金に飢える巫女が守る世界ですもの。神様なんてそんなものよ。」


あぁ・・・祈る神がいることすら感謝すべきだったのか・・・




そんなことをしゃべってるうちにフランの"御遊び"は一通り終わったらしい。


そして最後の大きなクローゼットを全開にしたまま中をゴソゴソと散らかしている。


「・・・ずいぶん服がたくさんありますね・・・」
所せましとまではいかないが大きなクローゼットを十分埋め尽くすだけの服が掛けてある。


「あれだけあっても全部着ないけれどね・・・」


「ですよね・・・みたこと無い服がたくさんありますよ・・・。」
やはりお嬢様というだけあってそれらしいドレスが多い。
・・・目を疑うような布の薄いものも見え隠れしているのだが。


「それに咲夜が洗ってくれるから毎日同じ服でもなんとかなるわ。」


「あぁ・・・確かに・・・。」
それにこの館・・・なぜか雨が降らないらしいからな・・・




すると突然フランが声を上げた。
「おねぇさまー!この箱なぁに~?」


フランが持ちあげたのは救急箱より少し大きいぐらいの木箱だった。
随分古いものなのだろうか・・・ずいぶんふr




「フラン。今すぐその箱を元の場所に戻しなさい。」
レミリアが静かに、しかし鋭い一言をフランに"命令"した。
さっきまではふざけた調子だった彼女が今は見ることもできないほどに恐ろしく感じる。


「えー!?好きにしていいっていったじゃ~ん!」
こんなこと言っても無駄だとは思うが空気を読め妹様!
ここはふざけていいとこじゃない!


「いいからその箱を置きなさい。次は無いわよ?」
すでに凍っていた空気がもはや息もつかせぬほど張り詰めていく・・・。
しかしフランの口元からは笑みが消えない。


「お嬢様が言ったんだもの~♪好きにしていいって!」
いよいよ箱を地面に置いて開けようとするフラン。


「はぁ・・・残念ね。今度は1000年ぐらいかしら?」


その言葉を聞く前に俺はフランのもとに走りだしていた。
1000年ってのがどういう意味なのかわかんないけどフランを止めないとまずいってことだけはわかった。


「いっ、妹様!今日のところは帰りましょう!」
箱に掛けかけた手を止めて箱を奪い取る。


そしてフランが驚いている間に箱をクローゼットの中に戻し、全開だった扉を閉めた。


「あー!にこぇがとったー!」


「わるいわるい!・・・それじゃお嬢様!今日はこの辺で!」
俺が逃げるように部屋を出ると怒りがおさまらないフランも俺の後をついて出てきた。


「にこぇまてぇー!」
フランの声が遠ざかるのを確認して、レミリアはクローゼットを開けて中を確認する。


「人間・・・か・・・。」
箱が元の位置に置いてあるのを確認し、静かにレミリアはクローゼットを閉じた。




結局、俺はレミリアの部屋を出た後、いつもの一階の食堂あたりまで逃げてきた。
もちろん、フランも一緒についてきている。というか追いかけてきている。


「どうどう・・・廊下は走っちゃいけないぜフラン?」
いい加減走るのに疲れた俺は立ち止まって呼吸を整えながら、フランの方を向きなおす。


「走ってたのはにこぇ!フランはちゃんと飛んでたもん!」
そういって"着地"するフラン。
家の中を飛ぶってのもなぁ・・・その発想はなかった。


「っていうかなんで邪魔したの!?あの箱面白そうだったのに!」
いまだ興奮収まらぬフランが食ってかかる。
よほどあの箱に期待していたらしい。


「仕方ないだろう・・・お嬢様の怒り具合が普通じゃなかったんだから・・・」
あのまま箱に何か起きたら俺の身だけじゃすまなそうな空気だったし・・・。


「だってお姉様いってたもん!好きにしていいって言ってたもん!」


「まぁ、そうは言ってたけどそれでもやっちゃいけないってことはあるさ。」
このあたりはちゃんと言っておいた方がいいだろうと判断し、俺は真面目にお目付け役を果たすことにした。


「だって!お姉様が自分で言ったのよ!?」
まだまだ引き下がらない様だ・・・。


「それじゃフランは自分の言ったことが間違ってても絶対に言いなおさない?」


「私は大丈夫だもん!間違ったことなんて言わないよ!」


「ほんとにぃ?大丈夫かなぁ・・・?」


「大丈夫!ほんとに大丈夫!」
くそぅ・・・なかなか引き下がらないな・・・。


「でも、フランがそうでもお嬢様には言いなおしたい時があるのかもしれないぞ?
  さっきみたいにな。」


「それは・・・でも一回言ったことだもん!」


「まぁそう言う事もできるが、他の人だってそういうことがあると思うぞ?
  咲夜が「今日の夕飯はハンバーグです。」っていって野菜ばっかりだとかな。」


「咲夜はそんなことしないよ!」
くそ・・・痛いとこついてきやがる・・・。


「でも俺ならあるぞ?朝寝過してフランのとこに行くのが遅れるとかさ。」
いまのとこそんなことになってない自分を褒めたい気もするが・・・


「うー・・・」
寝坊しかねないダメ人間の俺には反論できないらしい。
ようやく折れてくれたようだ・・・。


「まぁお嬢様だっていつもあんなこと言わないだろう?
  たまにはああいうのも許してやれよ、な?」


そういってフランの頭をなでようとした手が空を切る。


少しバランスを崩す俺を残してフランが走り去るのが見えた。
こちらも見ずに一目散に立ち去ってしまったらしい。


「ちょ・・・フラン!?」
何か変なことでも言ってしまったのかと慌てて追いかける。


自分の部屋に戻るのかと思いきや、彼女は館のホールから外に出て、美鈴のいる門とは違う庭の方に走って行った。


「なんで・・・庭なん・・・かに・・・」
フランの全力疾走は思った以上に早く息も絶え絶えに追いかける。


庭に着いたフランがようやく足を止める。
それをみて俺も脚を止め肩で息をしながら口を開く。


「どうしたんだよ・・・フラン・・・急に走りだしたりして・・・」
しかしフランはこちらを向きもしなければ口も開かない。


「はぁ・・・俺がなんか変なことでも言ったか・・・?」
ようやく息を整え、フランの方を向きなおす。


するとフランがぼそりと


「・・・言ったよ。」


はっきりとは聞こえないような声で返事をした。


「変なことって何だよ。許してやれって言ったことか?」
いまいちフランが何に怒っているのかわからず聞き返すといきなりフランがこちらを振り向いた。


「なんで許してやらなきゃならないの!?許すのはお姉様の方よ!
  私が謝ることなんて無いわ!お姉様が謝るべきよ!」
泣いていたのか目を真っ赤にしてフランが叫ぶ。


「まぁ落ちつけってフラン・・・別に俺はお前が悪いって言ってるわけじゃ・・・」

いまいちフランの言っていることが分からないが、自分が正しいのに聞いてもらえなかったのがそんなに悔しいのかと思った俺のこの一言が悪かったらしい。


それを聞いたフランが一気にまくしたてるように口を開く。

「じゃあ何よ!お姉様が悪いの!?そんな風に言ってなかったじゃない!
  いつも悪いのはフラン!お姉様は正しい!
  私の話は聞いてくれないでいつもお姉様お姉様!
  そんなにフランが悪いの!?ねぇ!フランはいつも悪い子なの!?」


「だから落ちつけって・・・別にそういってないだろ・・・?」


「だってそうじゃない!フランは間違ってないよ!間違ってるのはお姉様の方よ!
  なのにフランが悪い子にされてお姉様は何も言わずに澄まし顔!
  そんなのっておかしいじゃない!おかしいわよ!」


「あのなぁ・・・フランが悪いって言ってるわけじゃ・・・」


「もういい!にこぇなんて嫌いよ!ダイッキライ!死んじゃえ!
  『禁忌「レーヴァテイン」』!!」


言い終わるや否や、直視できない光がフランの右手から放たれるとその光は大きな剣に集約された。
いきなり現れた剣に驚く俺を無視して、フランが真っ赤に輝く剣をゆっくりと振り上げる。


それを見て俺にも、緊迫した今の状況が一瞬で理解できた。


「おいフラン!何してんだ!」



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
俺の声など聞かず、フランが叫び声と共に一気に剣を振り下ろす。


「俺にそんなもん振り下ろしたって何にもならないだろフラン!」


「うるさい!にこぇなんて・・・そんなこと言うんならにこぇなんていらない!」


結局振り下ろされる剣の勢いはますます強くなる。


(あぁ・・・俺にフランの目付け役は重荷だったのか・・・)
そんなことを思っている間にも、フランの剣がゆっくりと迫ってくる。

確実に死が迫りくる中、思い出されるのはここに来る前のことよりもここに来てからの記憶だった。

いろんな光景が頭をよぎりながら、やはりフランと一緒にいたのが一番多かったのだろう。

そういえばここに来てから来る前ほど咲夜と喋る機会が減ったなぁ・・・。
今日だって怒っているように機嫌が悪かったし・・・あとで一応謝っておこう・・・。


あ・・・でも『あとで』って・・・次もう会えねぇのか・・・。




ゆっくりと今までを振り返るも、確実に進む時間が剣を推し進めていく。


どうやら俺の声は、結局届かなかったらしい。



「あぁ・・・まだ行ってない部屋とかあったのになぁ・・・。
  妖精メイドに混じってパチェの後をついていったり・・・。
  夕飯にケチャップ掛け過ぎて口の周りを真っ赤にしてたり・・・。
  一緒に本を読んだり、授業の真似したり・・・もうできねぇのか・・・。」


自分の数瞬先をあまり思わないようにして剣に身を任せるように全身の力を抜く。
一瞬、わずかに剣が遅れた気がしたがおそらく気のせいだろう。


「あと・・・咲夜に一言謝っておきたかったなぁ・・・」


そんなことを口に出してみると、視界の端に咲夜が見えたような気がした。




あぁ・・・咲夜・・・お前なんでそんな顔して・・・











そこで俺の意識は轟音と共に途絶えた。













「ここを・・・して・・・いけ・・・はず・・・」


「ん・・・」
聞いたことのない声を聞いて俺は目をさまs


「ごめん!もう少し寝てて!」



ヒュッ・・・





バキッ!


「ぐへぁ・・・」
喉元に強い衝撃を受け俺は再び深い闇の中へ・・・









「潜るかッ!あんなネタ二度もやらせてたまるかゴルァ!」
流石に二度も同じネタを体張ってやるわけにもいかないので無理やり生還。


すると周りには咲夜とレミリアと・・・見たことのない生き物が一匹。
何やら大きなバッグにたくさんの機械をしまいこんでいるようだ。


「あら・・・ずいぶん元気そうじゃないにこぇ。あなた丸二日寝てたのよ?」
日の差しこむ部屋で一番遠くに座っている彼女が口を開いた。


「二日・・・?丸二日も・・・?」
左手をつき体を起こしてみると、確かに寝すぎたようなだるさが全身に感じられた。


「まぁ少しは休んでいてもいいわ。そこの河童に礼を言ってね。」
そう言い残して、レミリアは部屋を出て行った。


部屋のドアが閉まると、河童が一息ついて口を開いた。


「あー・・・ようやく出て行ってくれました・・・」
ベッドのそばにある椅子に腰かけて、砕けた口調で河童が喋り出す。


「いきなり呼び付けてしまったにも関わらずいろいろとありがとうございました。
  ずいぶん長くなってしまいすみません。」
ベッドを挟んで反対に立っていた咲夜が深々と頭を下げた。


「いいですよ~♪ こっちから頼みたいようなことでしたしね。」
そういうと、彼女はとても楽しそうな顔を見せる。


「作ったものの、試す機会がなくて困ってたんですよ・・・。
  まぁ性能の方は大丈夫ですので。」


「そうですか・・・。まぁ本人もおかしいと思ってないみたいですしね。」
すると河童が俺の顔をじっと見てくる。


「え・・・どうかした・・・か・・・?」


俺の顔を覗き込んで顔色を伺うと


「そうですね・・・まぁ何かあったらまた来ますので。」
顔を離して、部屋を出ようとする河童。


「あ・・・よくわかんないけどありがとうございます・・・。
  えっと・・・名前は・・・?」
最後にそれだけ聞こうと声をかける。


「あ・・・河城にとりっす。
  妖怪の山の川のほとりでいろいろやってるのでお暇でしたらきてくださいな。」
そう言い残してにとりは部屋を出て行った。


「なぁ咲夜・・・彼女は何をしにきたんだ?」
直接聞けなかった一番の疑問を早速投げかけてみる。


「あなた・・・倒れる前のこと覚えてる?」


「倒れる前・・・たしかフランがでっかい剣みたいなのを・・・」
いまさらながら、なぜ生きているのかに混乱する状況だった・・・。


「それを見つけた私が時間を止めてギリギリ命だけは助けられたの。
  右腕は吹っ飛んだけどね。」
さらりと凄いことを告げられた。


「右腕吹っ飛んだ・・・?あの後・・・?」
何事もなかったかのような今の空気に全く実感がわかない。


「肩からごっそり持ってかれてたかしらねぇ・・・。
  それを彼女に直してもらったのよ。」


「治してもらったのか・・・。」
言われて自分の腕を改めてみてみると肩の付け根あたりに接ぎ目のようなものがあった。


「あぁ・・・違うわ。"治した"んじゃなくて"直した"の。」
そういうと同時に咲夜が俺の右肘の方に触れた。


すると急に右手の指が空中に向かって動き出した。


「え・・・なんだこれ・・・?」
力を入れてないはずなのにものすごい速さで動く自分の指を不思議そうに眺める。


そして右手の指が動きを止めると、空中には魔方陣が描かれていた。


「簡単な防衛魔法らしいわ。河童さんがいろいろ仕込んでくれたらしいの。」
説明が終わると同時に、空中の魔法陣も消えていった。


「凄いなこの腕・・・他にもいろいろあるのか?」
咲夜が押したあたりをいろいろ触ってみるが、他にそれらしい感触はなかった。


「今は他に何もないらしいけど・・・にとりに頼めば他にもつけてくれるんじゃない?」
どこかあきれたような口調で咲夜が返した。


「そーいやこの腕って取れたりするのか?」
一通り触っていると付け根の部分でそんな疑問が頭をよぎった。


「下手に取れちゃってまたつけられなくなるのは困るんじゃない?」


「・・・あまり触るなってことな・・・」




「そーいえば俺はここで無事っぽいが・・・フランはどうなったんだ?」
やはり右腕は吹っ飛んだらしいからな。
いまだに実感がわかないけれども。


「妹様はまた地下に幽閉。あの後すぐにね。」
ため息交じりの咲夜が報告してくれる。


「地下に幽閉・・・?それに"また"ってなんだ?」


「数年前までお嬢様に幽閉されていたらしいわ。495年ほど。」


「495年!?ずっとか!?」


「私がここに来て少し経った頃に、出してもらえていたけれど・・・。
  それまではずっと地下だったんじゃないかしら?」


「そんなことが・・・。それで今はまたそこに閉じ込められたのか・・・」


「あなたのことも含めて好き勝手暴れたかららしいわ。」


「・・・含めてか。」
そのあたりはレミリアらしい、と勝手に思った。


そこで少し間があいた。
すると咲夜が席を立って部屋のドアへと向かった。


「それで・・・この後どうする?何か食べる?」


「ん・・・今はいいや。
  それより・・・フランに会えるのか?」
それを聞いて、咲夜が二度目のため息をつく。


「やっぱりそういうことになるのね・・・。
  地下に下りる階段はわかる?」


「向こうの下る階段だよな?」
フランと一緒に見つけたのがさっきのようだが実際は二日前なんだよな・・・。


「そう、その階段を下りた先にあるわ。
  行けば分かるはずよ。」
そういって咲夜がドアノブに手をかける。


「・・・行ってどうするの?」
こちらに背を向けたままで咲夜の声が部屋に響く。


「・・・咲夜?」


「・・・あの子はいつもそうなのよ。遊ぶおもちゃを無傷で片づけられない子なの。
  そして傷つけたことに一番傷ついてるのはあの子自身なのよ。」


「それがわかってるから誰もあの子と深く関わろうとしないの。
  あの子が寂しがろうと悲しむよりはいいはずなのよ。」


「・・・そう言い聞かせて納得できてるのか?」


「それも私の仕事なの。私はお嬢様の従者。
  あの子を傷つけることをお嬢様が望まない限り、私はあの子とは関わらない。」


「そうか・・・わかったよ。」


「・・・それじゃ行ってらっしゃい。」
そう言って咲夜がドアノブをひねった。


「あぁ・・・。」


「・・・あの子を・・・お願いね。」

そう言い残して咲夜が部屋を出た。






咲夜が部屋を出た後、一人残された俺はぼんやりと窓から外を眺めていた。


地下に長い間幽閉されていた。
それは、経験した者にしか分からないどんな言葉にしても表せない何かがあるのだろう。


日の差さない狭く真っ暗な部屋の中でただひたすら起きては寝ることを繰り返す。
それは生き物としてこれ以上ない退屈を伴う生活である。


彼女にはこんな晴れた空やそれを覆う雲、降り注ぐ雨やそれを受け止める地面さえ見ることはない。
もはや目を開けても閉じても同じ暗闇しかないその世界では生きるという言葉さえ意味を成さない。


きっと彼女はそのまま時間が止まっていたのだろう。
食事をとっても、意識があっても、心臓が動いていたとしても。


彼女が彼女自身を『生きていた』、と語ることはないと俺は勝手に考えた。


ひょっとすると彼女が子供のままの性格なのは、そうでなければ耐えられなかったんじゃないか・・・。
いや・・・流石に考え過ぎか・・・。


これ以上考えてもどうせ答えのようなものは出ない。


顔を上げ、ベッドから起き上がる。
二日ぶりに踏みしめた足元の確かさまでが彼女には無いのかと思ってしまいながら部屋を出た。






フランの後を追って見つけた地下への階段。
記憶の中では数時間前でも、実際には二日前なんだよな・・・と思いつつ階段を下りる。


階段の途中に明かりはなく、降り切った先に火が灯っていた。
そこからうっすらとフランがいるであろう部屋のドアが見えた。
ドアにはおそらく食事を差し入れるための郵便受けのようなものしか付いておらず、のぞき窓などは付いていなかった。


「・・・フラン?」


「ッ・・・。」
呼びかけてみると息をのむような音がした。


「フラン・・・俺だ。わかるか?」


「・・・なんで来たの?」


「おいおい・・・ずいぶんな返事じゃ・・・」
「なんで来たのって聞いてるのッ!来ないでよ!」


ドアがかすかに揺れたような気がした。


「・・・何をそんなに怒ってるんだ?」


「・・・もう喋ってこないで・・・」


「本当にそう思ってるのか・・・?」


「・・・・・・・・・。」


「なぁフラン・・・。そこから何が見えるんだ・・・?」


「・・・何も見えないよ・・・。真っ暗だよ・・・。」


「そうか・・・ちゃんと眠れるのか?」


「・・・一応ベッドがあるから。」


「食事は咲夜が持ってきてくれてるのか?」


「朝と夜だけ。動かないからあまりおなか減ったりしないんだけどね。」


「咲夜とは喋るのか?」


「咲夜は喋るけど私は喋らない。喋ることなんてない。」


「そんなことないさ。『美味しかった!』とか『量が少ない!』とかあるだろう?」


「・・・・・・。」




「なぁフラン・・・レミリアは嫌いか?」


「・・・なんであいつの名前が出てくるの?」


「咲夜から聞いたよ。昔ずっとここに閉じ込められてたことをさ。」


「・・・・・・・・・。」


「レミリアが憎いか?自分をここに閉じ込めた・・・」


「だからなんであいつの名前が・・・ッ!」




「なぁフラン・・・今でもレミリアに恨みとかあるのか?」


「そんなものないよ。だってなんでこんなとこに閉じ込められたのかわからないんだもの。」


「・・・そうなのか?」


「だって私はお姉様と一緒にぬいぐるみで遊んでただけなのよ?」


「それで・・・そのぬいぐるみは?」


「・・・わからないの。気づいたらボロボロになって・・・。
  そのあとすぐにお姉様にここに入れられたの。ずっとね。」


「そうか・・・。」




「ねぇにこぇ・・・にこぇは私が怖くないの?」


「・・・俺に剣みたいなものを振り下ろしたのは覚えてるか?」


「・・・うん。覚えてる。」


「俺もゆっくり近づいてくる剣の熱まで覚えてる。その後は覚えてないけどな。」


「・・・・・・。」


「フラン。お前、誰かに叱られたことってあるか?」


「・・・たぶん無いと思う・・・。」


「それじゃさっき出てきたぬいぐるみをボロボロにしちゃったときは何か思ったか?」


「あぁ・・・もう遊べないな、って思った・・・。」


「遊べなくなったら寂しくないか?ボロボロにしちゃいけないなって思わなかったか?」


「・・・でもおもちゃは他にもあったんだよ?お人形だってボールだって・・・」


「それじゃ俺がいなくなったらどう思う?代わりに咲夜と遊ぶか?」


「・・・・・・にこぇが?」


「あの時、咲夜がいなかったらどうなってたんだろうな。」


「・・・・・・・・・。」


「なぁフラン。やっちゃったことは仕方ないんだ。大事なのはその後だ。」


「・・・その後・・・。」


「壊すのは簡単だけど、治すのは難しい。それはお前が一番よくわかってるはずだ。」


「でもにこぇの腕だって・・・」


「それじゃ今度は頭でも吹っ飛ばしてみるか?お腹吹っ飛ばしてもいいぞ?」


「・・・・・・・・・ゃだよ。」


「ぬいぐるみを壊したらまた同じのを作ればいい。
  服を破いたらまた同じのを作ればいい。
  それじゃ俺が死んだらまた俺を作るのか?」


「・・・・・・・・・。」


「間違えちまったことは仕方ないんだ。壊す前に戻ることなんてできないんだから。
  咲夜だって時間は止められても戻すことはできないらしいからな。」


「そう・・・だね・・・。」


「だからな、フラン。一度間違えたら次は間違えないようにすればいいんだ。」


「・・・・・・次?」


「次はあんなおっきい剣は出さないようにしよう!ってな。」


「・・・・・・・・・。」


「算数と一緒さ。最初は誰だって間違えるんだ。
  そして次から間違えないようにするんだ。」


「あ・・・。」


「1+1は何回やったって2にしかならない。でもフランは算数じゃない。
  同じ問題に同じ答えを出さなくていい。好きにやっていいんだ。

  そして間違えたら『ごめんなさい』って謝るんだ。」


「あやまる・・・うん。わかった。」


「わかったって言ったな?それじゃ次からはあんまり物壊すなよ。」


「うん・・・わかったよ。」


「それじゃまた来るな。今日からご飯持ってくるのは俺だろうしな・・・。」


「うん・・・あ、にこぇ・・・」


「どうした・・・?」


「えっと・・・その・・・ごめんなさい。」


「ああ。」







地下から階段を上がり、咲夜に飯でも作ってもらおうかと思ったら美鈴に出くわした。


「お、美鈴。どーした?」


「あ・・・にこぇさん!大丈夫でしたか!?」


「まぁな・・・河童の技術ってのはすごいらしいな・・・。元通りだぜ。」


「良かった・・・咲夜さんったら全然病室に入れてくれないんだから・・・」


「だって騒ぐだろお前?『大丈夫そうですか!?死にませんよね!?』ってさ。」


「そんなことしませんよ~!私はこう見えても・・・」


「そう言うと思ったから入れなかったの。」
声とともに廊下の向こうから咲夜が歩いてきた。


「あーひどいですよ咲夜さん!私そんなことしませんよ!」


「全く・・・怪我人よりぐっすり寝てたくせに・・・。」


「え・・・あははそんなことないですよなにいってるんですかさくやさん。」


「美鈴わかりやすいなぁ・・・」


「あはは・・・にこぇさんまで・・・」


「美鈴・・・寝るときは・・・バレないようにな!」


「咲夜さん相手だと無理なんですけどね・・・トホホ・・・」


「あらあら・・・にこぇまで仕事中に寝てるようね・・・どうしようかしら・・・」


「おっと・・・俺のは仕事中じゃなくて昔の経験だからな。美鈴とは違うぜ。」


「あ!ひどい!にこぇさん!仕事中一緒におしゃべりしてたじゃないですか!」


「へぇ・・・仕事中に・・・」


「あっバカ!そこは喋らなくても・・・!」


「どーせ怒られるなら巻き込んじゃいますからね!」


「ちくしょう・・・もう美鈴にはご飯持ってってやらねー・・・。」


「ちょっ!それわたし死んじゃいますから!」


「でも美鈴って一ヶ月ぐらい何も食べなくてもいいんでしょう?」


「あああああ・・・咲夜さんまで・・・」


「残念だったな美鈴!」


「あなたもよにこぇ。」


「うっ・・・」
それを聞いて美鈴が笑いだす。
つられて俺も咲夜も笑い出す。


横目で見た咲夜の顔が自然な笑顔になっていた。







数日後。

地下室から出てきたフランに俺はまた算数を教えていた。


「よかったな。今回はすぐ出してもらえて。」
問題とにらめっこしているフランの顔もいつも通りに戻っている。


「そうだね!にこぇが頼んでくれたって咲夜が言ってた!」


「まぁな・・・それに、反省したらもう間違えないだろうしな。」
それより、仕事が無くなってしまい、美鈴と喋る毎日になってしまって咲夜の目が・・・


「次は間違えないように頑張るよ!」
問題用紙から顔を上げて満面の笑みで答えてくれた。


「あー、今日も勉強ですか?家庭教師さん。」
どこから見つけたのか美鈴が声をかけてきた。


「職務の方はいいのかい門番さんや。こちらは今仕事中なんだが・・・」


「大丈夫ですよ・・・
  どーせ取られるものなんてパチュリー様の本ぐらいなんだから・・・」
そんなこと言っちゃいけないだろう門番なのに・・・。


「美鈴こんにちはー!」


「あ、こんにちは~♪」
隙をつかれた美鈴の顔がこわばる。


「ちょっと・・・にこぇさん・・・いつの間に妹様に挨拶を教えたんですか?」


「これもお目付け役の仕事かと思ってな・・・。」


「なるほど・・・それじゃ次からはあまり暴れさせないでくださいよ~?
  咲夜さんったら庭の掃除を全部私にさせるんですから・・・」


「あ・・・ごめんなさい美鈴・・・。」
耳に入ってしまったのかフランが美鈴に謝る。


「いやいや大丈夫ですよ妹様!?それも私の仕事ですから!」
それを聞いてさっきより美鈴があたふたしだした。


とりあえず俺の仕事は順調に行っているらしい。
こないだの一件以来、算数以外にもいろいろ教えることが増えた。
それでも遊ぶ時間は有り余るほどあるのだが・・・。


「にこぇできたよー!ほらー!」
ノートいっぱいに描かれた数字をフランが嬉しそうに見せてくる。


「お・・・どれどれ・・・。
  ・・・ちゃんとできてるな・・・。はなまるだぞフラン。」


「やったー!全部できたー!」
ページいっぱいに丸をつけてあげるとフランの目がきらきらと輝きだした。


「ふぅ・・・それじゃがんばってくださいね。お目付け役さん。」


「あぁ・・・元気すぎて困るけどな・・・。」


「にこぇー!次はー?」


「あぁ・・・次はな・・・」


埋まっていくノートのページとフランの笑顔で今日も一日が過ぎていく。

明日はフランに何を教えてあげようか・・・
明日はフランに何を見せてあげようか・・・
明日はフランと何を読んであげようか・・・

彼女といつか一緒に外で遊べるように、俺の日々もゆっくりと過ぎていく。
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にこぇ

Author:にこぇ
御年:20(自称)

趣味
 音楽関連(聞くor弾くor叩く)
 ゲーム(音ゲー>ACT>STG)
 稀に読書(綾辻様ヽ(´ー`)ノマンセー)

性格
 天邪鬼(自称)
 口を開くと下ネタ95%(当者調べ)
 紳士の毛皮をかぶった紳士
 典型的なB型人間
 → 自己中心型思考
   (空気は読める子)
  → スイッチのON/OFFが激しい
 → 愛したもの・人は一生涯
 → だいぶ酷いレベルの収集癖
 → 熱しやすく冷めやすい
   (でも忘れない)


音楽関連
・好きなバンド:BUMP OF CHICKEN

・好きなジャンル:HR/HM・ダンスミュージック・ボカロ等
 → HR/HMは有名どころを少し聞いた程度
 → ダンスミュージックはKONMAIのせい。
 → 偏食がひどい。特にボカロ。

・ニコ動の好きな歌い手様
 → Geroりん>Vin様>鳥子s、灯油s等・・・
イケボ・マジ・イオナズン

その他
 →ギター保持。経験年数なんて飾りです。偉い人にはそr(ry


ゲーム関連
・音ゲー関連
 メイン:IIDX
 他は弐寺ができない時にやる。
  → 御熱なこともしばしば。
 → 1P side 九段(適正少し)
 →好きなアーティスト
  →Ryu☆>Tatsh>LED,Yoshitaka>Other

・その他好きなゲーム

東方(~星蓮船)
 → 紅魔館メンバー大好き
  → 更に言うと咲夜さん。
   → 更に言うといぬさくや
 → 天則プレイ経験有り
  → 永遠のNランクおぜう
  → サブキャラ少々
 → 元Hardシューター(笑)
  → 星蓮船のみExまで
 → 文花帖フルコン済み
 → DS放置中。
 → 天則放置中。
  → まとめると東方放置中。

他STGとしてCaveを好む。
 → CS大往生保持。
 → 弐週目なんてなかった。
 → そもそもノーコン無理ゲー

Devil May Cryシリーズ
 → 2なんてなかった
 → やりこみ度:3>1>4
  → SEのしすぎで無印は気分が悪くなる
  → 両キャラDMDクリア。
  → Dante:Normal All mission SS Clear


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